税理士に相談しましょう ー その2
相続対策のご相談とか、相続税申告をお引き受けしたときとかに、”贈与したつもり”になっている方々をたびたびお見受けしています。
そのほとんどが、金融機関の人に教えてもらうとか、セミナーとかで聞いて、
「印鑑さえ変えれば大丈夫。」
「1,110,000円贈与して、贈与申告して、1,000円贈与税を納めりゃこれで大丈夫。」
中には、月々の掛金が10万円で5年満期の積立預金を行い、
「年1,200,000円の贈与だから、贈与申告して1万円贈与税を納めりゃ贈与完了。」
こういった方々が結構いらっしゃるんですよ。
相続対策でおやりになってみえるのでしょうが、相続税調査で否認される場合が多いことをご存じでしょうか。
「うちは規模が小さいから税務調査なんて無縁です。だから大丈夫です。」と言い切る方がいらっしゃいますが、税務署をなめてはいけません。『やったつもり贈与』は一番狙われやすいのですよ。
そもそも贈与とは民法の定めです。
民法で贈与については、
① 贈与の当事者同士が贈与契約を交わすこと
② 贈与財産を贈与者から受贈者へ引き渡すこと
が要件となっています。
即ち、贈与者が受贈者に対して、「贈与者の財産をただであげますよ。」と言い、これに対して、受贈者は、「はいありがとうございます。よろこんでいただきます。」と言ってはじめて贈与が成立するわけです。
ですから、「印鑑が変えてあるから」とか、「贈与税の申告して税金をちょこっと払ってあるから」といっても、民法上の贈与契約が成立していなければ、税法上も贈与とは見なさないのです。
前提条件が重要なのです。
せっかくの相続税対策です。後で無駄とならないためにも、事前に税理士に相談することをお勧めします。