相続と認知症のお話
お亡くなりになられる方のご年齢ですが、90歳を超える例が増えました。
ご高齢になられると、認知症を発症する場合があります。
93歳でお亡くなりになられた方の相続のお話です。
騒動が起きたというお話です。
お亡くなりになられた方は、女性で、既に10年以上前にご主人は亡くなられており、長男夫婦と暮らしておられました。
お子様は、同居の長男の他に、嫁がれている長女と、近隣にお住いの次男がいらっしゃいました。
ご時世で、既に、長男の奥様は亡くなられた方と養子縁組をなさっておいででした。
また、やはりご時世で、同居の長男の主導の下、公正証書による遺言が作成されていました。
ご相続財産は、亡くなられたご主人から受け継がれたご自宅の土地建物、賃貸アパートの土地建物が2物件、同居のご長男が受取人の死亡保険金、預貯金、債務としてアパート建設に伴う銀行借入金があるといったところで、小規模宅地の特例の適用を受けても2百万円くらいの相続税のご負担が出るかなといった事案でした。
通常なら、遺言に従い遺産分けをするのか、遺産分割協議で遺産分けをするのかを決めて、遺産分割協議での遺産分けなら、預貯金の8千万円をお子様方でどのような割合で分割するかを協議してまとまってしまうお話なのですが、、、、、。
ちょっとした騒動が起きてしまいました。
なんとまぁ~、公正証書遺言が作成されて以降に書かれた自筆遺言が出てきてしまったのです。
書店で売っている” あれ “です。
さらに、成年後見人を立てる準備に入っていたことも分かったのです。
故人様は認知症を患っておられたのですが、長女は軽度の認知症と思っていたので、故人様のおっしゃることを真に受け、長女が良かれと思い、自筆遺言を作らせ、成年後見人を立てる準備をしていたのです。
故人様は次のように訴えられたそうです。
「食事は満足のゆくものでなく、たまに罰として抜かれることもあり、入浴をさせてもらえないこともある。家に長時間入れてもらえないこともある。」
「お金は長男夫婦に管理されてしまっており自由にならず困っている。」
長女が長男夫婦に謝られて大きな騒動にはならず、円満に分割協議が成立しましたが、”認知症対策”の必要性を考えさせられた事案でした。
お元気な内に対策を行っておくことが重要です。
成年後見制度はお勧めできません。
対策としては、『家族信託』がよろしいようです。
まだ新しい制度ですので、取り扱う専門家が少ないのが少々難点なのですが、お勧めできます。
よろしければ一度ご相談ください。